研究課題
1、胃癌におけるPTENの異常胃癌104例中20例(19.2%)でPTENにLOHが認められた。このPTENのLOHは臨床病理学的因子と関係を認めなかったが、PTENがLOHである症例では予後がきわめて不良であった。2、胃癌におけるAKTの異常pAKT(リン酸化AKT)は、28.9%で陽性であった。PTENにLOHを認めない症例では20.5%のみにpAKTが観察されたのに対し、PTENがLOHの症例では、77.8%がpAKT陽性であり、PTENのLOHとAKTのリン酸化の間に有意な関係を認めた。抗癌剤感受性をMTT assayで評価すると、pAKT陽性の癌では抗癌剤に耐性である傾向を認めた。3、AKT/PI3K下流シグナルの検討我々はPTENの遺伝子の働きを破壊したPTEN-DNを導入することにより、AKTを持続的に活性化させた細胞を作製した。この細胞は親株に比べてAKTが持続的に活性化されていること、また増殖能が高いことが確認された。この細胞と親株のRNAの発現状態をAffimetrix社のRNA EXPRESSIONマイクロアレイを用いて胃癌の悪性化に関わる因子を探索したところ。既知の遺伝子では低分化胃癌の進展に関わるMMP-9などの発現が変化していることが確認された)。すなわち我々はEGFR阻害剤をはじめとする低分化胃癌の新しい分子標的の候補を同定した。
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Digestion 79
ページ: 33-9
癌の臨床 55巻1号
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外科治療 Vol98
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