近年、過形成ポリープから鋸歯状腺腫を介してMSI-H大腸癌が発生する新しい経路の存在が注目を集めている。鋸歯状腺腫のうち、右側大腸に多く存在する扁平で比較的大きな腺腫(sessile serrated adenoma: SSA)と癌化との関連が注目を集めている。われわれはSSAのDNAメチル化修飾の有無、程度について明らかにするため、メチル化感受性酵素(Not I)を用いたAFLP法(amplified fragment length polymorphism)によるフラグメント解析を行った。また、遺伝子異常検索として、BRAF (exon15)変異検索を行った。対象は、SSA18例、管状腺腫6例、MSI-H大腸癌8例、MSS大腸癌14例、対照として正常大腸粘膜9例を用いた。BRAF (exon15)変異は正常大腸粘膜、管状腺腫で0%、MSS大腸癌で7.1%(1/14)だった。SSAは16.7%(3/18)、そしてMSI-H大腸癌では50%(4/8)にBRAF変異を認めた。フラグメント解析ではSSA、管状腺腫いずれにも正常粘膜と比べ有意にメチル化異常を認めた。一方、脱メチル化は管状腺腫、MSS大腸癌の脱メチル化と比較し、SSA、MSI-H大腸癌では脱メチル化は軽度であった。SSAはBRAF変異、メチル化修飾の観点からMSI-H大腸癌との関連が示唆された。
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