<研究の目的>癌の発生、進展には遺伝子配列の変化を伴う遺伝子異常とともにDNAメチル化のような遺伝子配列の変化を伴わない遺伝子修飾の異常が重要な役割を演じている。特に遺伝子修飾の異常は癌のみならず、癌発症の背景となる慢性胃炎や潰瘍性大腸炎等の非癌組織にも認められる。そこで癌化に先行して引き起こされている遺伝子修飾の変化を正常組織において捉える事ができれば、癌の易罹患性を予見する有用な手段になりうると考えられる。本研究では我々が独自に開発したDNAメチル化マイクロアレイを用いてDNAメチル化異常をゲノム全域に渡り網羅的に捕捉、評価し、癌の易罹患性因子を同定する事を目的とした。<対象>胃癌、慢性胃炎、正常胃粘膜、大腸癌、潰瘍性大腸炎、正常大腸粘膜、血液。 <方法>DNAメチル化マイクロアレイを用いて癌部、非癌部、慢性炎症組織のメチル化異常を網羅的に検出し、正常組織と比較する事により癌化の背景に関わるメチル化異常を同定する。<結果>平成19年度は潰瘍性大腸炎関連疾患を対象に比較検討を行った。担癌潰瘍性大腸炎では非担癌潰瘍性大腸炎に比べ癌部組織のみならず非癌部組織にもメチル化、脱メチル化異常が高い頻度で認められた。現在症例数を増やし解析を進めている
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