胃上部早期胃癌に対する機能温存術式としての噴門側切除術について、迷走神経幽門洞枝の有無により胃排出試験に差が出るか否かにつき検討した。術後1年経過しているにもかかわらず、迷走神経幽門洞枝が温存できなければ、胃排出は有意に遅延していた。また食事摂取量に関しても、少ない傾向がみられた。 実際の臨床ではリンパ節郭清のため幽門洞枝が温存できないことが多いため、幽門側残胃が1/2以下と小さい場合は、つかえ感の程度が増大するものと予想される。従って噴門側切除術の適応は、残胃の大きさが1/2以上残せる症例に限るべきである。
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