研究概要 |
進行食道がんの予後向上のために、私ともは術前化学放射線療法(CRT)を施行してきた。CRTresponderの予後は良好であるが、再発する症例も経験される、当然CRTNon-responderの予後は不良である。その予後因子を検索するために、今回の研究を立案した。 本年度は、進行食道がん化学放射線療法後手術症例の切除標本において免疫組織学的染色を行い、その悪性度、予後との相関性を検討した。評価Biomarkerは、COX-2,VEGFおよびCXCR4である。40名の患者さんを対象に免疫組織学的染色を行った。14名の患者さんは、病理学的CRであった。COX-2,VEGF発現は17名、13例の患者さんにそれぞれ認めた。COX-2発現は相関性を示し、COX-2発現は、腫瘍再発、リンパ節転移と相関性を示した。さらに、進行食道がん化学放射線療法後の患者さんでCOX-2発現とVEGF発現を呈する患者の予後は、そうでない患者に比べ有意にDFSが不良であった。結論として、COX-2おびVEGF発現は、進行食道がん化学放射線療法後の患者さん再発および後因子になりうる可能性を示唆した。それゆえに、進行食道がんの治療において、COX-2およびVEGFのAntagonistの投与が有効である可能性が示唆された。
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