研究課題
I肝虚血再灌流後の肝類洞内の血小板動態について生体蛍光顕微鏡を用いて分析した。ラットを正常群とクッパー細胞除去群とに分けて20分間の肝虚血を施した。正常群では、再灌流30分後より血管内皮に膠着する血小板数が時間とともに増加することが確認された。さらに類洞灌流は低下し、肝逸脱酵素も上昇することが判った。一方で、クッパー細胞除去群では血管内皮に膠着する血小板数は増加せず、類洞灌流や肝機能も保たれていた。本研究では血小板は虚血再灌流後に血管内皮と膠着し、クッパー細胞の存在下で微小循環障害を引き起こして肝機能障害へとつながることが明らかとなった。II肝虚血再灌流酒害の防止効果について、好中球エラスターゼ阻害剤(Sivelestat)を用いて評価した。ラットを治療群と非治療群の2群に分けて20分間の肝虚血を施した。治療群ではSivelestat10mg/kgを投与し、非治療群では生食を投与した。生体蛍光顕微鏡を用いて再灌流後の微小血管内皮障害を評価した。またMDA法により組織、血中の過酸化脂質を測定し虚血再灌流障害の指標とした。さらに再灌流120分後に肝葉を取り出して組織傷害の評価を行った。治療群(Sivelestat投与群)では有意に虚血後の白血球膠着を抑制し、微小血管の灌流が保たれることが判明した。さらに組織ならびに血中の過酸化脂質の生成が抑制され、組織学的傷害も軽減された。現在結果の解析を行っているところである。
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Journal of Surgical Research (in press)