研究課題/領域番号 |
19591579
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
河野 寛 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (40322127)
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研究分担者 |
松田 政徳 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (80242642)
平井 優 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (90436866)
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キーワード | Kupffer細胞 / サイトカイン / 急性肺障害 / ケモカイン / 炎症性細胞 / 腹膜炎 |
研究概要 |
目的:腹腔内感染に起因する急性肺障害発症機序における肝臓のマクロファージであるKupffer細胞(KC)の役割を、ラット腹膜炎モデルで検討した。方法:雄性S.D.種ラットを用い、KC抑制物質である塩化ガドリニウム(GD)を24時間前に投与後、盲腸結紮穿刺腹膜炎(CLP)モデルを作成し、致死率、臓器障害を肝・肺で検討した。また、両臓器での炎症性メディェーター発現を検討した。結果:死亡率はコントロール群(C、生理食塩水投与)C群で60%(CLP後7日目)、GD群は12時間以内に全て死亡した。肝障害は認めなかった。死因は、急性肺障害であり、GD群でC群と比較し障害が急性増悪した。肝臓と肺におけるpro-inflammatory cytokineであるTNF-α発現は両群で差を認めなかった。一方、anti-inflammatory cytokineであるIL-10の発現は、C群では肝ならびに肺でともにCLP後早期に増加を認めたが、GD群では発現が低下していた。これに伴い、各種炎症性サイトカインならびにケモカインの肺での発現はGD群で増加した。考察:KC消去によるIL-10発現低下が宿主の生存と肺障害発症と進展に関与する事実が解明された。KCは感染免疫において中心的な役割を果たしていると考えられた(Kono et al. J. Surg. Res. 2008 In press)。また、炎症時に肺と肝臓の自然免疫系は、相互に関連しあっている事実が明らかとなった。
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