研究課題
当教室では、ファージライブラリー(以下PL)を用いたバイオパンニング法(以下BP)を行い、消化器癌標的治療への応用を研究してきた。肝細胞癌(以下HCC)に関しては、BPによってHCC結合性を有すると考えられるペプチド(HCC-Binding Peptide:以下HBP)を同定し、そのHBP提示ファージを用いて、各種悪性腫瘍由来細胞株ならびに手術切除標本において、その結合性を確認した。この結果は、Oncology誌に論文掲載された(Shimizu A. et al. Identification of an oligopeptide binding to hepatocellular carcinoma. Oncology 2006; 71: 136-145.)。さらに、HBPを化学合成し、ビオチン修飾HBPを用いてHCC結合性の確認を行った。その結果、HBPはHCC以外の細胞株ならびに非癌部肝組織に比べ、HCC由来細胞株ならびにHCC組織により強く結合が認められた。BALB/cヌードマウスを用いてHCCモデルを作成し、ビオチン修飾HBPを尾静注し、HCC組織・背景肝組織・各種臓器組織を採取して、免疫染色にてHBP結合性を比較した。その結果、HBPは癌組織により強い結合を認めたが、背景肝組織ならびに他の正常組織にも結合が認められた。HBP結合対象となるHCC細胞の膜タンパク質の同定を、ウェスタンブロッティングならびに免疫沈降を応用した手技で試みたが、単一膜タンパク質の同定はできなかった。以上より、HBPはHCC結合性を有するが、複数の膜タンパクを認識している可能性、また結合する膜タンパクはHCC以外の細胞にも表出している可能性が考えられた。また、消化器癌患者切除標本よりマイクロダイセクションで得られた癌組織を用いてBPを行い、その患者の癌組織に特異的結合を示すペプチドを同定し、その方法論とともにJournal of Drug Targeting誌に論文掲載された(Kubo N. et al. Identification of oligopeptide binding to colon cancer cells separated from patients using laser capture microdissection. J Drug Target. 2008;16(5):396-404.)。
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