研究概要 |
今回我々は、当教室で症例の豊富な胆管癌を用いてhedgehogシグナル系の発現解析を行い、更に予後との関連を検討し、「hedgehogシグナル系が予後因子をとりうるか」、また「hedgehog経路阻害剤シクロパミン(Cyclopamine)が治療の対象となりうるか」を明らかにしていくことにした。 まずは、胆管癌のcell lineを用いてRT-PCRを行った結果、hedgehog遺伝子の中のIHH(Indian Hedgehog),SHH(Sonic Hedgehog)及び下流遺伝子の発現を確認した。更に、cell lineを用いて細胞免疫染色を行い、IHH,SHH,DHH(Desert Hedgehog)ともに、蛋白レベルにおいても発現があることを確認した。次にhedgehogシグナル経路阻害剤である、シクロパミン(Cyclopamine)を用い、増殖が抑制されることを確認した。また、Cyclopamine使用後、下流遺伝子の増減を確認するため、real time RT-PCRを用いた結果、主にGli1,Foxm1(下流遺伝子)において減少が確認された。 これらのことから、胆管癌cell lineにおいてSHH,IHH,DHHが発現しているであろうということが、確認され、Cyclopamineは、胆管癌及び下流遺伝子の経路で発現されるであろうと思われる遺伝子を抑制することがわかった。 以上よりhedgehog経路阻害剤が治療の対象となりうるであろうと、予測された。
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