研究概要 |
1.平成19年度に、同所性移植胆道癌ヌードマウスモデルの確立と、このモデルのgemcitabine投与効果判定実験の適性につきAnnals of Surgical Oncology誌に報告した。 2.平成19-20年度にかけて、臨床進行・再発胆道癌でのgemcitabine投与例73例につきその効果を判定し、各種学会や雑誌に報告を行った。結果を要約すると、全体の78%にgemcitabineの継続投与が可能で、投与例の平均生存期間12ヶ月、1年生存率48%、CR0%、PR18%、SD41%、PD41%で、部位別には胆嚢癌や肝内胆管癌に比較して肝外胆管癌に高い有効性が認められた。 3.平成19-20年度に、蓄積した胆道癌の凍結組織を用いてgemcitabine代謝酵素の発現をWestern blot法で検討した。検討を予定していた6種類の代謝酵素の中で、3種類(5'-NT,dCK,RRM2)は特異抗体による目的バンドの検出が難しく、本研究には適当でないと思われた。3種類(RRM1,CDA,hENT1)は目的バンドが明瞭に検出でき、本研究でのタンパク発現検討に適当と考えられた。また、これらのタンパク発現は免疫組織化学染色でも確認された。 4.平成20年度に、上記3種のタンパク発現とgemcitabine投与効果との関連につき検討を行った。対象は18例で、その内訳は抗腫瘍効果を認めた例(PR+SD)12例、認めなかった例(PD)6例であった。それぞれのタンパク発現をβactinで標準化した量で検討すると、各タンパク発現と抗腫瘍効果に明らかな関連を認めなかったが、gemcitabineが奏効したPR例ではhENT1高発現という特徴があった。 5.胆嚢癌同所性移植モデルにおける転移臓器別(肝、肺、腹膜、リンパ節)のRRM1,CDA,hENT1のタンパク発現と、臨床進行・再発胆道癌での各代謝酵素のmRNA発現は現在検討中である。
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