研究概要 |
メチルグアニンメチル基転移酵素(MGMT)をコードしているMGMT遺伝子のプロモーター領域がメチル化されていると、腫瘍細胞内MGMT活性が低下することが判明している。報告によると、膵癌ではほとんど(87.9〜100.0%)でメチル化を受けていないため、膵癌細胞内MGMT活性は高値を示すとされている。本実験において、実験動物に移入する膵癌細胞内のMGMT活性は極めて重要な意味をもつため、本年度は動物実験に使用予定である膵癌細胞株のMGMT遺伝子のプロモーター領域のメチル化についてmethylation specific PCRを施行し、同領域のメチル化の有無ならびにその程度について検討した。 現在、教室では10株の膵癌細胞を保有しているが、そのうち継代が可能であったYPK-1,YPK-2,YPK-3,YPK-4,YPK-5,YPK-6,YPK-8,YPK-10の8株の膵癌細胞株を対象とし、それぞれの細胞株においてgenomic DNAを抽出し、3回のmethylation specific PCRを行なった。 その結果、YPK-1にはMGMT遺伝子のプロモーター領域のメチル化されており、細胞内MGMT活性が低下していることが示唆された。したがって、来年度引き続き行なう動物実験においてコントロール群として適していることが判明した。また、YPK-2、YPK-5、YPK-6、YPK-8、YPK-10がいずれもMGMT遺伝子のプロモーター領域がメチル化を受けておらず、細胞内MGMT活性が高いことが示唆されるため、これらの株はいずれも治療群に使用できることが判明した。
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