研究課題/領域番号 |
19591592
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高畑 俊一 九州大学, 大学病院, 助教 (50437779)
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研究分担者 |
永井 英司 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30264021)
水元 一博 九州大学, 大学病院, 准教授 (90253418)
大内田 研宙 九州大学, 大学院・医学研究院, 特任助教 (20452708)
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キーワード | microRNA / マイクロダイセクション / 膵癌 |
研究概要 |
膵癌は、現在国内で癌死の第5位を占めるほどの主要な癌でありながら、最近30年間でほとんど予後改善(5年生存率がわずか3%のまま)が認められない。本研究では、Bioarrayによる網羅的な解析と、定量的リアルタイムRT-PCR法により、多数のかつ微量な臨床サンプルであるホルマリン包埋組織(FFPEサンプル)並びに膵液のmicroRNA(miRNA)発現解析を実施し、膵癌の浸潤・転移能、膵癌患者の予後を左右する膵癌miRNAを同定する。また膵癌凍結切片からはマイクロダイセクションによって膵発癌過程にある細胞群を選択的に抽出し、発癌のどの段階においてmiRNAの機能が関与しているかを明らかにする。 平成20年度は、前年に行った膵癌細胞のアレイによるmiRNAの網羅的解析の結果を受け、膵癌特異的なmiRNAを複数同定し、定量的リアルタイムRT-PCRを行ってその結果を確認した。さらに特定のmiRNAを選択し、その発現レベルに応じて膵癌細胞のphenotypeが変化するという所見が得られた。現在、そのmiRNAのターゲットとなる遺伝子群を選択し、その中からさらにそのphenotypeの変化に関連する分子を同定する作業を進めた。 また、臨床サンプル(FFPEサンプル)を用いた検討で、膵癌の浸潤・転移能、膵癌患者の予後を左右する膵癌miRNAの同定に成功し、標的遺伝子との関係も明らかにした。また、マイクロダイセクションを行って膵発癌過程とmiRNA(miR-17-5pなど)の関与について検討を行い、一定の成果が得られた。さらに、膵癌診断に有望なmiRNAを選択して、膵液を用いた膵癌診断への臨床応用を試みた。 また、上記以外の解析により同定されたmiRNA(miR-21など)においても発現増強・または抑制による機能解析を行い、miRNAが膵癌の進展(細胞増殖・浸潤)に影響を及ぼすことを明らかにした。
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