研究課題/領域番号 |
19591600
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田辺 稔 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (50197513)
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研究分担者 |
篠田 昌宏 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50286499)
高柳 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80245464)
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キーワード | 劇症肝不全 / HMGB-1 / 肝移植 / 抗サイトカイン療法 |
研究概要 |
実験経過の中で当初の計画から治療方法に若干の変更を生じることとなった。<目的>敗血症、虚血再灌流障害など各種病態で血清中High mbility group box-1(HMGB-1)が上昇することが報告され、新たな炎症性メディエーターとして注目されている。本研究では薬剤誘導性ラット劇症肝不全モデルにおいて抗HMGB-1抗体投与の効果を検討した。<方法>雄性SDラット(250-300g)を使用、陰茎静脈よりD-galactosamineを静注し肝炎を誘発する薬剤誘導性ラット劇症肝不全モデルを作成、以下の実験を行った<実験1>D-galactosamine(1.8g/kg)を静注、その直後に抗HMGB-1抗体(6mg/kg)を投与する治療群、コントロール抗体(6mg/kg)を投与する対照群に分け、12時間毎に生存率を観察した。<実験2>D-galactosamine(1.4g/kg)を静注、同様の治療群と対照群において48時間後における血清中HMGB-1及びTB、AST、ALT、LDH、ALP、NH3を測定、比較した。<結果><実験1>生存率は対照群で48、72時間においてそれぞれ40%、0%であったのに対し、治療群では100%、60%と有意に(p<0.01)改善した。<実験2>劇症肝不全誘発48時間後の血清中HMGB-1は対照群が39.9±3.54(pg/mL)であったのに対し、治療群では11.4±4.68(pg/mL)と上昇が抑制された。また同採血においてAST(17333±3136Vs6746±1698IU/mL)、ALT(11065±3073Vs6373±1427IU/mL)、LDH(6746±4462Vs1879±1050IU/mL)が治療群で有意(p<0.05)に低値を示した。<結語>ラット劇症肝不全モデルにおいて抗HMGB-1抗体投与の予後改善効果が示された。
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