研究概要 |
平成17-18年度若手研究(B)により、肝内胆管癌由来の培養細胞株であるHuCCT1、MECとヒト正常胆管上皮細胞株HiBEpicのmicroRNA(miRNA)発現プロファイルを明らかにすることにより、正常胆管上皮細胞株で強く発現し、肝内胆管癌由来細胞株で発現が消失または著明に減少しているmiRNA、胆管上皮特異的miRNA(miR-22,-125a,-127,-199a,-199a^*,-214,-376a,and-424)を同定した。今回の基盤研究により、肝内胆管癌および肝-胆管系に特異的なmiRNAが制御しているmRNA、標的となるmRNAを特定することで、肝-胆管系におけるmiRNAの機能の一端を解明することを目的として研究を行った。我々によって同定された特異的miRNAのうち、バイオインフォマティクス解析から、miR-22,-199a,and-376aの共通する予測標的mRNAがアンギオテンシン変換酵素(ACE)であることをつきとめた。さらに、上記培養細胞株におけるACEの発現をreal-time PCRとWestern blotで解析した。正常胆管上皮細胞株と比較し、胆管癌細胞株において、mRNAおよび蛋白のどちらのレベルにおいてもACEの発現が有意に上昇しており、胆管上皮特異的miRNAの発現と逆相関を示した。このことは、ACE発現の胆管上皮特異的miRNAによる調節が、発癌と関与する可能性を示唆しており、現在、特異的miRNAの過剰発現を行い、プロテオミクス技術を用いて、ACEを含めた標的mRNA同定の解析を進めている。
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