研究課題/領域番号 |
19591603
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
内藤 善哉 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20237184)
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研究分担者 |
石渡 俊行 日本医科大学, 医学部, 准教授 (90203041)
藤原 ゆり 日本医科大学, 医学部, 助教 (70434131)
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キーワード | ケラチノサイト増殖因子 / 膵臓癌 / 子宮内膜癌 / VEGF-A / 静脈侵襲 / MMP |
研究概要 |
ケラチノサイト増殖因子受容体(KGFR/FGFR2IIIb)は、上皮細胞に特異的に発現する線維芽細胞増殖因子受容体の1つで、間質細胞で産生されたKGF/FGF-7が結合することで上皮細胞の増殖や分化に重要な役割を果たしている。子宮内膜癌において、recombinant KGF(rKGF)による癌細胞増殖促進作用はみられなかったが、癌細胞の細胞外基質との接着性亢進が認められた。rKGFの投与により大部分の膵臓癌細胞においてもin vitroでの増殖促進作用はみられなかった。今回、検討した8種類の膵臓癌培養細胞の全てにKGFRが発現しており、KGFもMIA PaCa-2細胞以外の細胞で発現していた。一方、53例の膵臓癌症例中22例(41.5%)で膵臓癌細胞にKGFRが発現しており、18例(34%)でKGFが発現していた。膵臓癌症例におけるKGFまたはKGFRの発現は、静脈侵襲と有意に関連していた。さらにKGFとKGFRが共発現している膵臓癌症例は、有意に静脈侵襲、血管内皮細胞増殖因子(VEGF-A)発現が多く、予後不良であった。さらに膵臓癌培養細胞に対してrKGFを投与すると、VEGF-Aの発現増加が認められ、膵臓癌にKGF遺伝子を導入したKGF安定発現株では、VEGF-Aの発現も増加していた。一方、KGFを産生している膵臓癌細胞に、KGFに対するshort hairpin RNA(shRNA)を遺伝子導入しKGF産生を抑制したところ、VEGF-Aの発現も減少した。これらより、膵臓癌ではKGF/KGFR系がVEGF-Aを介して癌周囲の血管新生に関与し、癌の増殖と転移に関与している可能性が考えられた。現在はKGF/KGFR系とMMPの関連について検討中である。
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