本年度は研究実施計画に基づき、以下の研究を行った。 (1)EBUS-TBNA検体バンクの構築:現在まで、肺癌症例に対する肺門・縦隔リンパ節転移診断目的にて約1000症例に対してEBUS-TBNAを施行した。EBUS-TBNAサンプルからRNAを抽出しcDNAを得、同時にDNAも抽出した。遺伝子解析に耐えうる量および高品質のRNA、cDNA、DNAを安定して得ることのできる実験系を確立した。 (2)EBUS-TBNA検体を用いた遺伝子変異解析:EBUS-TBNA検体を用いた遺伝子変異解析として、EGFR遺伝子変異についての解析を行ったり変異を有する症例ではGefitinibに対し高い感受性を示すことを報告した。 (3)EBUS-TBNA検体を用いたDNA異常メチル化解析:EBUS-TBNA検体において異常メチル化の検出する実験系を確立した。 (4)EBUS-TBNA検体を用いた免疫組織学的検討:EBUS-TBNAにより得られたホルマリン固定標本を用いて、細胞周期調節、細胞分裂、組織低酸素、血管新生等に関連する蛋白発現を検討する実験系を確立した。 (5)約1000例のEBUSエコー所見から、転移リンパ節の特徴を、サイズ、内部エコー、形状等の観点から明らかにした。 (6)非小細胞肺癌症例に対し、EBUS-TBNAを行い、リンパ節転移症例を対象とした術前導入療法を行う、臨床試験を開始した。本研究の到達目標である個別化医療に寄与すると考えられる。
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