研究課題/領域番号 |
19591612
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉田 成利 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (90334200)
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研究分担者 |
吉野 一郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40281547)
安福 和弘 千葉大学, 医学部・附属病院, 助教 (60372356)
鈴木 秀海 千葉大学, 医学部・附属病院, 医員 (60422226)
和田 啓伸 千葉大学, 医学部・附属病院, 医員 (90514604)
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キーワード | 肺移植 / 免疫抑制 / 免疫寛容 / V型コラーゲン / 制御性T細胞 / 免疫抑制剤 |
研究概要 |
【はじめに】前年度にMHC完全ミスマッチモデルにおいてV型コラーゲン[Col(V)]に低容量のサイクロスポリン(CsA)を投与することにより、拒絶反応が抑制されることを示した。Col(V)による経口寛容の誘導が免疫抑制剤の投与量減少にかかわっているものと考え、本年度はその免疫抑制効果と機序を明らかにする目的で研究を継続した。 【方法】前年同様にBNからWKYへの左肺移植を施行。Col(V)群にはCol(V)を術前経口投与(10μg×8回)、CsA群には低用量CsAを術後投与(5mg/kgx3回)、Col(V)+CsA群にはCol(V)経口投与と低容量CsA投与を施した。Allo群には追加療法を施行しなかった。移植後7日目に犠牲死させ、病理学的評価を施行。縦隔リンパ節(MLNS)・脾臓よりT細胞を分離し、また気管支肺胞洗浄液(BALF)より肺胞マクロファージ(AM)を分離し、リンパ球混合培養反応(MLR)を施行した。ELISPOT法、ELISA法にてサイトカイン産生能を評価し、BALFのマクロファージ遊走能を解析した。 【結果】急性拒絶反応の病理評価ではCol(V)+CsA群が他群と比べ優位に低い値を示した。Foxp3による免疫組織化学ではCol(V)+CsA群で気管血管周囲にFoxP3+抑制性T細(Treg)陽性細胞が見られたが、FACSではMLNs・脾臓T細胞中のFoxp3発現は顕著ではなかった。サイトカイン分析では、Col(V)+CsA群でIFN-γが抑制され、IL-10の産生が促進された。各々の実験群由来のAMとnaiveWKYのT細胞を用いたMLRでは、Col(V)+CsA群でIL-10の顕著な産生が見られた。またBALFによるマクロファージ遊走能、BALF中MCP-1の産生はCol(V)+CsA群で抑制された。 【結論・考察】Col(V)と低容量CsAの複合投与は肺移植の急性拒絶反応に対して強い免疫抑制効果を与えた。臨床肺移植において術前のCol(V)投与によるCsAの減量効果が示唆された。その機序としてはCol(V)の経口寛容により誘導されたIL-10の産生が重要であると考えられた。
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