研究課題
【目的】治療困難・予後不良な肺癌再発例に対して自己活性化γδ-T細胞(γδT)による免疫療法を試み、安全性および有効性について明らかにする。【対象と方法】原発性肺癌、非小細胞肺癌治療後再発例、本研究に同意された方。評価可能病変を有し、除外基準を持たないことを条件とした。【結果】12例同意されたが2例がγδTが増殖せず除外された。腺癌8例・扁平上皮癌1例・大細胞癌1例を対象とした。事前に2種類以上の治療を8例が受けていた。γδTは3~12回投与された(中央値6回)。全有害事象はGrade1のべ3回、Grade3のべ2回(細菌性肺炎・放射線肺炎)であった。いずれもγδT治療と関連は無かった。投与後240~850日(中央値445日)観察され、最終観察時生存6、死亡4例であった。γδT投与中死亡は見られなかった。死因はいずれも肺癌再発増悪であった。RECICS判定では5回投与後CR/PR/SD/PD=0/0/5/4であった。後観察基幹では0/0/3/5判定不能2であった。CR+PR+SDの割合を病勢コントロール率とすると5回投与後では50%,後観察期間では30%であった。投与後末梢血中のVγ9δT細胞数は次第に増加傾向にあった。FACT-BRM total scoreの経時的測定においてはGrade3有害事象症例をのぞき、投与期間中はスコア値が安定ないし上昇し、治療期間中のQOLは良好に保たれた。【考察】非小細胞肺癌表面に過剰発現するMICA/Bを認識するNKG2DをγδTは発現しており、isopentenyl pyrophosphateをTCR/CD3のリガンドとして認識し、癌細胞に接触・破壊する。体内に多量の自己γδTを投与した場合の安全性ならびに有効性について明らかにしたが、さらに今後はこの細胞障害活性をより効果的に体内で発現させるための方策について検討を進めたい。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Lung Cancer 64(印刷中(8頁))
肺癌 48
ページ: 407-407
Cytotherapy 10
ページ: 842-856
日本臨牀 66(suppl)
ページ: 311-314
http://ctstokyo.umin.ne.jp/thoracic/ts.htm