研究課題/領域番号 |
19591618
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
太田 安彦 国立病院機構金沢医療センター臨床研究, 臨床研究部, 医長 (00272964)
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研究分担者 |
松本 勲 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (80361989)
小田 誠 金沢大学, 医学研究科, 准教授 (50224241)
渡邊 剛 金沢大学, 医学研究科, 教授 (60242492)
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キーワード | 肺がん / リンパ節転移 / 微小転移 |
研究概要 |
肺癌における積極的縮小術を推進する上で微小転移をも含めた術中リンパ節転移の診断方法の確立が必要である。凍結新鮮標本に対して抗サイトケラチン抗体を用いた免疫染色を迅速ヒストファイン法を用いて施行し、H.E.染色に基づく従来の迅速診断法および通常の免疫染色法と比較検討した。肺癌症例において術中迅速診断に提出されたリンパ節個数は合計116個、1症例あたりの平均2.3個(1-10個)、サンプリングを実施したリンパ節ステーション数は平均1.1(1-3)であった。肺癌49症例中リンパ節転移を最終的に組織学的に確認できた10例中、術中の迅速診断にて転移を確認できたのは7例であった。この7例より摘出された16個の転移陽性リンパ節はいずれもRapid法、通常の免疫染色方法によって転移の存在を確認しえた。また、通常法にてリンパ節転移の認められなかった39例より迅速診断に供された100個の転移陰性リンパ節においては、Rapid法および通常の免疫染色方法においても転移は確認されなかった。今回の検討で、抗サイトケラチン抗体を用いた免疫染色を迅速ヒストファイン法により実施するRapid法により、通常の免疫染色と同様の鋭敏度、特異度をもって転移リンパ節を検出できることが判明した。ただし、従来法で検出不可能で、免疫染色法で検出された微小転移例は認められず、今後の検討課題と考える。通常法でリンパ節転移のみられなかった39症例において、郭清後も含めて摘出されたすべてのリンパ節に対してサイトケラチン法による免疫染色を行って検討を行ったが、微小転移を確認することはできなかった。この理由として、サンプル数の低さとともに診断医としての病理医の微小転移に対する認識から診断のスキルが向上し、通常法においても微小な転移を認知できるようになった可能性があげられる。Rapid法の従来の迅速診断法に比しての必要に関しては、なお慎重に評価する必要性がある。本研究では、ビタミンB2をトレーサーとしたセンチネルリンパ節診断法の実用性も検討を行った。
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