研究課題/領域番号 |
19591624
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
南 正人 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10240847)
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研究分担者 |
奥村 明之進 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40252647)
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00243220)
内海 朝喜 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40423165)
井上 匡美 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10379232)
宇山 浩 大阪大学, 工学系研究科, 教授 (70203594)
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キーワード | 肺気腫 / 再生医療 / 成長因子 / ドラッグデリバリーシステム / 組織工学 |
研究概要 |
この研究では、再生医学の応用により、肺気腫に対する治療法に新たな展開を求めることを目的とする。気腫肺に効果的に成長因子を到達させる具体的な方法として、(1)採取の容易な自己脂肪組織から分離した間葉系細胞をscaffoldに培養付着させ貼布する細胞シート法、および(2)細胞を用いず担体から直接成長因子を放出するDrug Delivery System(DDS)の開発を目指している。(1)に関しては、すでに外科領域で臨床試用されているPGA (polyglycolic acid)不織布(ネオベール(R))を担体として用い、脂肪間葉系細胞を培養・付着させ、その上清にHGFが検出されることを確認した。HGFについては、肺気腫の成因に関与し、これを補うことにより呼吸機能が改善することをこれまでに報告している。続いて、(2)すなわち、昨年度に開発したゼラチンを圧着したPGAシートに関して、生体内での分解過程をみる目的で、培養液(ハンクス緩衝液、37℃)中での動態を観察した。ゼラチンは、培養24時間後から溶解が始まり、約7日までに形態を失う。一方、PGAシートは、1週間経過してもほぼその形態を保持し、約1ヶ月経過すると、繊維が分解されていることが確認できた。(1)および(2)のシートの効果をvivoで検証する前段階として、昨年度に確立したラット気管の切離・端々吻合モデルにおいて、まず(2)のゼラチンーPGAシートを使用した。すなわち、ラット気管を縦切開し2針結節縫合したのち、シートで吻合部を被覆した。そのあと、筋層、皮膚を層々に閉創した。麻酔覚醒は概ね良好で、1週間後に犠牲死させパラフィン包埋ブロックを作成した。これまでの予備実験では、吻合部付近のPGA繊維周辺に、炎症細胞の集籏が確認され、吻合部治癒過程におけるHGFの効果を評価できる可能性があることが判明した。
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