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2009 年度 実績報告書

生体肺移植における新しい急性拒絶反応診断法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 19591626
研究機関岡山大学

研究代表者

佐野 由文  岡山大学, 大学病院, 講師 (60322228)

研究分担者 山根 正修  岡山大学, 大学病院, 助教 (20432643)
豊岡 伸一  岡山大学, 大学病院, 助教 (30397880)
キーワード抗ドナー特異的抗体価 / 肺移植後急性拒絶反応 / 両側生体肺移植
研究概要

肺移植周術期の急性拒絶反応の診断においては,感染や虚血再潅流障害など他の炎症病態との鑑別が問題となるが,適時診断/予見に寄与する有効なbiomarkerはない.我々は過去に異系ラット肺移植モデルにおいて急性細胞性拒絶に伴い抗ドナー特異的(HLA)抗体donor specific antibody(DSA)が上昇する結果を報告した.これは液性拒絶のみならず,一般的な急性拒絶の形態である細胞性拒絶の過程においても早期に一過性のDSA上昇があることを示唆するものであった.今回臨床肺移植急性期におけるDSAの推移を調査し,急性拒絶反応臨床経過との関係について検討をおこなった.
1998年10月から2009年11月に岡山大学で行った両側生体肺移植(2人のドナーからそれぞれ左右1肺葉ずつ一人のレシピエントに移植する)50例のうち,レシピエントに術前免疫学的感作歴がない10例を対象とした.移植後14日以内に片側性(2人のドナーからのグラフトのうち一方のみに対する)急性拒絶症状があったもの5例(AR群),なかったもの5例(NR群)に分類しDSAを検討した.DSAの測定は、flow cytometry crossmatch法を用いて左右各ドナーのTリンパ球に対するレシピエント血清中のIgM価およびIgG価を術後14日間毎日測定した。ドナーのリンパ球およびレシピエントの血清サンプルはともに末梢血より採取した。
移植後14日間における左右のドナーに対する抗体価の差について、AR群ではNR群と比較して有意に大きな差を認め、AR群において拒絶側のドナーに対する抗体価のみが上昇している可能性が示唆された。またAR群において、抗拒絶側ドナー抗体価と抗非拒絶側ドナー抗体価を、臨床的急性拒絶発症の前後の期間で比較したところ、急性拒絶発症2日前の早期から拒絶側ドナー抗体が非拒絶側ドナーに対する抗体価よりも有意に高値を示していた。
この研究結果は、一般的な急性細胞性拒絶が早期から液性反応を伴っていることを示す新たな免疫学的知見から,DSAのmonitoringによる肺移植後急性拒絶の早期診断法を提案しうる意義あるものであると考えられる.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2010

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 急性拒絶反応発症と抗ドナー特異的抗体価推移-急性拒絶発症を予見できるか2010

    • 著者名/発表者名
      三好健太郎, 佐野由文, 他
    • 学会等名
      第26回日本肺および心肺移植研究会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2010-01-30

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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