初年度にRNA干渉法による糖代謝関連酵素の阻害による細胞レベルでの中皮腫増殖抑制効果を見出したが、in vivo応用および臨床応用可能な治療系の確立のために、より多くの分子情報および解析検体の収集が必要となった。次年度には中皮腫臨床検体のサンプリングおよび蛋白、核酸の分離調整を行った。まずは発現解析システムおよびDNAメチル化解析システムを確立のために、中皮腫に比べて豊富に確保されている肺癌検体を用いて検討し、一定のデータを得ている。その基礎臨床データとなる千葉中皮腫研究グループで集積した60例以上の中皮腫患者に関する診断、組織型、治療、予後などについてまとめ、英文誌に報告した。 また、細胞培養装置、クリーンベンチ等の刷新する必要が生じ、安定のために腫瘍細胞培養にかかる消耗品を必要とした。現在、中皮腫遺伝子治療をめざしたsendai virusを用いた細胞導入技術の安定化のための実験にようやく着手し始めることができた。
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