7頭のビーグル犬を用いた。6個のcrystalを僧帽弁輪に、2個のcrystalを乳頭筋基部に心外膜側より縫着した。心臓をKrebs-Henseleit液にて潅流し、上記のcrystal動きと心臓内視鏡による直接観察により僧帽弁輪と弁尖の動きを観察した。コントロール状態、左前下行枝閉塞状態、左回旋枝閉塞常態において検討した。それぞれのcrystal間の距離をDigital 3-D ultrasound sonomicrometerを用いて測定した。 コントロール群では、心臓内視鏡の観察において僧帽弁閉鎖不全は認められなかった。また、僧帽弁輪の形状の変化もなかった。左前下行枝閉塞では、1頭のみにおいて前外側よりの僧帽弁閉鎖不全を認めた。左回旋枝閉塞では、全例において後内側よりの僧帽弁閉鎖不全を認めた。また、左回旋枝閉塞状態では、明らかな弁輪の拡大を認めた。 左前下行枝の閉塞では、明らかな僧帽弁輪不全は発生しなかったが、左回旋枝閉塞では、僧帽弁輪後内側の弁輪拡大により僧帽弁閉鎖不全が発生することが明らかとなった。
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