研究概要 |
(はじめに)肺腺癌の浸潤性の獲得に伴って、IV型コラーゲンの発現が減少する。IV型コラーゲンはα1,2鎖およびα3-5鎖から各々のへリックスを形成する。前者は細気管支肺胞上皮癌(BAC)の非虚脱部および虚脱部までは保持されるが、間質浸潤部では消失する。後者は前者より早く減少し、BACの非虚脱部で既に、その消失が認められる。 (対象)術前にAcetate-PETを行った後に肺切除を行った、大きさ3cm以下の肺腺癌74例について検討した。 (方法)IV型コラーゲン α1-α5鎖の免疫染色であるが、α1と2鎖、α3、4および5鎖の2群を代表する抗α1および抗α5抗体を用いて、実験を行った。基底膜の50%以上に連続性の染色を認めるものを陽性とした。Acetate-PETの評価にはSUVmaxを用いた。 (結果)抗α1抗体陽性は24例、陰性は50例であった。陽性、陰性例それぞれの分化度の内訳は高分化(42,12例)、中分化(6,9例)、低分化(2,3例)であった。α5に関しては陽性13例、陰性61例であり、分化度の内訳は高分化(12,42例)、中分化(1,14例)、低分化(0,5例)であった。74例のAcetate-PETのSUVmaxの平均値は1.9±0.7(0.8-4.5)であった。抗α1抗体陽性例および陰性例のSUVmaxの平均値は、1.7±0.7および2.1±0.7であり(p=0.03)、陰性例のSUV値が陽性例より優位に高かった。同様に、α5においても陰性例のSUV値(2.0±0.7)は陽性例(1.4±0.5)より優位に高かった(p=0.02)。 (考察)以上より、Acetate-PETから小型肺腺癌の浸潤性を予測できる可能性が示唆された。
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