インペラ軸受け周囲の形状変更による抗血栓性向上の評価 1.H20年度までに、インペラ後面のシュラウドの中心孔の径を7mmにしたものが最も軸受周囲の血栓形成が軽度であること、インペラ後面のシュラウド内縁を前方へ延長したもの方が、そうでないものより軸受け周囲の血栓形成が軽度であること、および、インペラ流入部の位相をインペラ方向に短縮し入口部直後のケーシングを平坦にしたものの方が、現行のものより入り口側軸受けの血栓形成が軽度であることが判明した。本年度はこれに基づき長期使用仕様のポンプの最終形を試作した。インペラ流入部の位相をインペラ方向に短縮し入口部直後のケーシングを平坦にするとインペラ後面のシュラウド内縁を前方へ延長することができず、入り口側軸受けの血栓形成抑制効果が高いと考えられる、インペラ流入部の位相をインペラ方向に短縮する方法を選択し、シュラウドの中心孔の径を7mmにしたポンプを試作した。 2.慢性動物実験にて、左心バイパスを形成し、2L/min、300mmHgの条件下で6日間の駆動を5個のポンプを用い、順次ポンプを交換しながら行った、5個目のポンプは10日間の駆動を行った。血栓形成の状態を現行の体外循環用ポンプと比較した。対照ポンプではインペラ軸周囲、軸受周辺に塊状の血栓形成を認め、フィルタにも遊離した血栓が捕捉されていたが、試作ポンプでは一機のポンプのみ入り口側軸受周囲の血栓を認め、フィルタに血栓の捕捉を認めたが、他の4機では、インペラ軸にわずかの血栓のみを認め、フィルタの血栓捕捉も極わずかであった。10日間の駆動を行ったポンプでも良好な結果であった。
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