エンドスタチンは強力な血管新生抑制効果をもち、我々はエンドスタチンを発現するプラスミドを作製し遺伝子形質導入を行ってきた。この遺伝子導入で腫瘍増殖抑制効果は認められるものの、腫瘍増殖を完全に抑制できるほど強力なものではなく、何らかの併用療法が必要と考え、ZD6474をその候補として検討を行った。このZD6474はVEGF受容体とEGFR受容体をともに阻害する薬剤であり、肺癌領域では大きく期待される薬剤である。ZD6474とエンドスタチンとの併用療法を行うためにZD6474の至適濃度決定を試みた。ヒト肺癌細胞株4種類でその至適濃度を解析した。使用した肺腺癌細胞株NCI-1975、A549、PC9、PC14で、最終的に至適濃度を5μMに決定した。この濃度を保つためにZD6474をマウスに連日投与する容量を150nmol/bodyと決定した。さらに上述肺腺癌細胞株NCI-1975、A549、PC9、PC14にendostatin遺伝子導入をGL67/DOPEを用いて形質導入を行う予定であったが、入手が困難になったために形質導入方法を変更し、FuGENE^<[○!R]>6(Roche)を使用した。形質導入は形質導入した腫瘍細胞株全てで、RT-PCR法を用いて確認できた。今後はZD6474投与とエンドスタチン遺伝子形質導入をヌードマウスを用いてin vivoで行い、その腫瘍増殖抑制効果をNCI-1975、A549、PC9、PC14で作製した転移性肺腫瘍を用いて行う予定である。
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