研究課題/領域番号 |
19591645
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
泉 陽太郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90245506)
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研究分担者 |
朝倉 啓介 慶應義塾大学, 医学部, 研究員(非常勤) (90383786)
川村 雅文 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (70169770)
小林 紘一 慶應義塾大学, 医学部, 名誉教授 (80051704)
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キーワード | 癒着 / 吸水性ハイドロゲル / ポリグルタミン酸架橋体 |
研究概要 |
本研究では安定した胸腔内癒着形成モデルの確立が最重要課題であった。本年度はラットに比べ分子生物学的解析なども将来的により容易であると想定されるマウスを用いた実験を主体に行った。気管内挿管など一部の手技がラットより困難であったが、安定した開胸手技が確立された。全身麻酔下に左半身を剃毛、消毒後経口挿管を行い人工呼吸器管理とする。左側臥位にて固定する。人間における後側方切開に準じ、肩甲骨の尾側に沿って皮膚切開をおく。電気メスを用いて後背筋、前鋸筋を切開し肋骨に至る。第5肋間で肋間筋を切開し右開胸を行った。ラットにおける検討と同様に開胸手術における胸膜損傷癒着形方法として下記を各々検討した。1)壁側胸膜損傷+臓側胸膜損傷モデル、2)綿棒、メス刃による擦過。3)電気メス焼灼。ラットに比べ呼吸回数が多い影響か、胸腔内癒着の形成率は低い印象であった。肋骨に沿って開胸した部位と肺との間にも軽度の癒着のみ見られる場合もあった。電気メスによる壁側胸膜の焼灼のみでは、軽度の癒着形成しか見られなかった。臓側胸膜の焼灼を追加すると焼灼部位どうしの癒着が見られた。また臓側および壁側胸膜の綿棒による擦過では高率に癒着形成が見られた。ポリグルタミン酸架橋体により形成されるハイドロゲルはこれらの癒着を高率よく抑制した。これに対し予備実験ではあるが、臨床応用されているヒアルロン酸シートは、シート自体との間に癒着が形成される確率が高いと考えられた。
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