研究課題/領域番号 |
19591649
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
菅野 重人 日本医科大学, 医学部, 講師 (20291718)
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研究分担者 |
清水 一雄 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20133449)
新田 隆 日本医科大学, 医学部, 教授 (40256954)
大森 裕也 日本医科大学, 医学部, 助教 (40343587)
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キーワード | ギャップ結合 / コネキシン43 / 不整脈 |
研究概要 |
(動物実験の終了)マウスを用いた虚血実験を終了した。コネキシン43(Cx43)の発現異常による細胞間コミュニケーションの変化は心筋間伝導障害を引き起こして電気的に正常でない基質を生成し、臨床上遭遇する不整脈を再現する有用なモデルであった。また組織所晃も正確に臨床上のヒト虚血心筋を再現していると考えられ、ギャップ結合(GJ)の分布及び構造の変化に関するデータはは臨床応用上有用な所見であると考える。 (心筋GJにおけるCx43の役割) GJにおけるCx43は隣接する心筋細胞同士の電気伝導性(物質透過性)をチャネルにおけるCx43量の増減によって制御していると推察される。近年理論的な構築が試みられているGJの開閉システムはCx43チャネルにおいてもほぼ類似した機構を有しているものと推察される。しかし組織全体としての電気伝導性はGJ自体の分布変化によって隣接細胞間のコミュニケーションを制御(抑制)するという機序に依存する部分もあり、一義的な解釈はできない。また臓器組織を保護する機序によるGJ開閉が不整脈誘発の一因となるという前年度までの実験結果は、実際の臨床場面(心臓手術)では低体温や人工心肺装着等の要素が加わり、やや複雑になると思われた。今年度の実験においては、GJ自体の細胞内移動や隣接心筋細胞とのコミュニケーション遮断は心筋環境の変化に対しては1時間以内に開始される現象であることがわかった。この時期におけるCx43量の調節が不整脈の予防にどれだけ有効であるかは更に解析が必要である。 (分子標的治療の実現可能性)本研究の最終目的である周術期の致死性不整脈に対する分子標的治療の実現に関しては十分なデータが蓄積されたと考える。一連の実験系を通して蓄積されたデータの解析から、虚血心筋におけるGJの分布変化及びチャネル自体の構造変化そしてCx43の発現異常に起因する伝導遅延現象が確認され、心室頻拍に代表される致命的な周術期不整脈の回避には心筋GJにおけるCx43の制御が不可欠であるとの確証が得られた。
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