研究課題/領域番号 |
19591660
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
平戸 政史 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00173245)
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研究分担者 |
渡辺 克成 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10312886)
風間 健 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30396626)
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キーワード | 機能再建外科 / 脳血管障害 / 随意運動神経回路網 / 回復機序 / 機能画像 / 磁気刺激 / 脳深部電気刺激術 / 大脳皮質運動野電気刺激術 |
研究概要 |
片麻痺回復の脳内機序については、昨年報告の12例に加え、最近1年間に当科を受診し、入院、加療をうけた皮質下梗塞4例(視床1例、被殻3例)、出血3例(視床3例)において引き続き検討を行っている。一方、今回の研究テーマの一つである上行性運動感覚信号については、その中継点となる視床感覚核における振戦例疾患群別の感覚反応の同定率、分布を検討した。パーキンソン病(PD)10例、本態性振戦(ET)10例(コントロール群)の解析では、運動感覚反応は視床腹中感覚核(Vim核)においてPD群では59反応(5.9反応/トウッキング)、ET群では97反応(7.5反応/トラッキング)を認めた。その末梢受容野は前者でば下肢10反応(17%)、上肢49反応(83%)で、視床Vim核内背外側下肢、腹内側上肢という比較的整然とした身体部位局在を示し、後者では下肢14反応(14.5%)、上肢82反応(84.5%)、顔面1反応(1%)で、その分布は基本的にはPD群と同様であったが、より広い範囲に広がり身体部位局在がやや不明瞭であった。これに対し、脳血管障害後振戦(pCVD-T)群5例では、運動感覚反応は視床Vim核において12反応(2.4反応/トラッキング)を認め、上肢11反応(83%)、顔面1反応(17%)(深部)で、視床Vim核内の腹尾側部に偏在していた。片麻痺患者の視床の状態はpCVD-T群に近い状態にあると思われるが、今回の検討からコントロール群となるPD群、ET群と比較して、pCVD-T群の視床の状態は機能的に大きく異なっており、従って、随意運動を行う上で重要な上行性運動感覚信号の伝達も視床のレベルにおいて大きく変化している事が示唆される。片麻痺患者において麻痺の改善を意図し上行性運動感覚信号を賦活する際に、又、それによる脳内動態の変化を解析する際に、以上の点は考慮すべき重要な問題と思われた。
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