研究課題
ヒト高次脳機能は、複数箇所の脳皮質領域が白質組織(軸索)による回路で形成され、各部位が独立、また関連した活動で成されている。特に言語・記憶機能はヒトにとって極めて重要な機能であり、これらの脳機能局在、ネットワーク解明は臨床医学のみならず、神経科学でも注目されている。近年は機能MRI(fMRI),脳磁図(MEG)などの非侵襲的脳機能画像法により、ヒト言語機能を捉える試みがある。一方、臨床では脳皮質を直接電気刺激することによる脳機能マッピングを行うが、非侵襲的脳機能画像法の局在結果との検討はほとんど行われていない。本申請者は150例の検討で侵襲的検査法(Wada test)との比較により、語想起課題fMRIでは約90%の症例で前頭葉運動性言語、文字読み課題MEGで70は84%で側頭葉感覚性言語機能の優位半球を同定した。さらに難治性てんかん32症例で硬膜下電極で皮質電気刺激による脳機能マッピングと非侵襲的脳機能画像結果を比較した。課題遂行が確実に行える15症例ではfMRI活動を認める前頭葉下部の電気刺激では発語停止、MEG信号源のある上側頭部、側頭葉底部(紡錘回後部)刺激では80%の症例で感覚性失語を誘発し、脳機能画像と電気刺激マッピング結果が一致していた。さらに認知課題を組み合わせた皮質電位(Electrocorticogram; ECoG)を硬膜下電極より計測した。文字読み課題では両側紡錘回、優位半球側下-中前頭回前、上側頭回、その後前頭葉へと電位変化が起こることを確認した。また刺激提示後500-1000msecにかけて両側の海馬、海馬傍回にも強い電位変化を認めた。5症例で時間-周波数解析を行ったところ、前頭葉、側頭葉、紡錘回後部に400msec以降に安定した40-100Hzのγ帯域成分の集積を認めた。今後このγ帯域の周波数分析をMEG検査と比較検討することで、非侵襲的脳機能マッピングの精度を向上することが期待できる。また、海馬周辺部の活動は記憶関連脳機能の検査への応用をも最終目標とする。
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