GFP-transgenicマウスの耳介より採取した組織から、浮遊培養系で、皮膚由来幹様細胞を作成した。この細胞を、虚血損傷後のマウス梗塞脳に移植した。移値細胞が、うまく生着せず、虚血条件や移植条件を変えて実験を行った。結果、4週間後には移植細胞が生着生存した。移植細胞は、穿刺針の腔に沿って1ヶ所に集族して存在しており、梗塞に陥った脳全体に遊走移動している所見は認められなかった。これらの細胞を、神経系細胞の抗体であるNeuN、GFAPで蛍光染色したが、いずれも染色されず、移植生存細胞は、マウスの神経症状(片麻痺)を改善しなかった。皮膚由来幹様細胞は、組織採取の容易さと、自家移植が可能なため免疫抑制剤が不要という、大きな利点を持つが、生体内での生着や分化の条件が重要と考えられる。
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