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2008 年度 実績報告書

遷延性脳脊髄液喪失状態の脳内モノアミン代謝に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 19591667
研究機関山梨大学

研究代表者

堀越 徹  山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (50209300)

研究分担者 内田 幹人  山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (30313795)
キーワード脳脊髄液減少症 / 低髄液圧症候群 / モノアミン / セロトニン
研究概要

脳脊髄液は、脳組織代謝やホメオスターシスに深くかかわることが認識されている。髄液圧が下がり起立性頭痛などを生じる低髄液圧症候群は、脊髄硬膜が何らかのきっかけで破綻し、内部の髄液が硬膜外へ流出することによって生じる。これが遷延すると慢性頭痛や精神症状などの難治性の病像を呈するとされるが、そのメカニズムは究明されていない。セロトニンは神経伝達物質の主たるモノアミンのひとつであり、セロトニンおよびその受容体の異常が、うつ病、偏頭痛、パニック障害、摂食障害、睡眠障害、不安障害などに深くかかわっていることが知られているが、このようなセロトニンが関与する病態は、低髄液圧症の慢性例に見られる症状に類似している。我々はMRIおよびRI脳槽シンチグラフィーを用いた低髄液圧症診断に関する臨床研究を進めるとともに、モノアミン代謝産物である5-hydroxyindolacetic acid (5HIAA), homovalinic acid (HVA)の髄液中濃度について計測した。また、髄液喪失の動物モデルを作成し、髄液減少が脳内セロトニン代謝に及ぼす影響について評価した。結果:低髄液圧症患者では、脂肪抑制MRIにおいて視神経周囲髄液が喪失していることが新たに確認された。これは、髄液量減少の鋭敏な指標と考えられ診断上有用であった。また、モノアミン代謝では、ドーパミンの最終代謝産物である髄液中HVAが5例中3例で高値を示していた。これは、ストレスに伴うドーパミン作動神経の過活動の結果とも考えられるが、症状の類似している慢性頭痛患者において異常値を認めなかったことから、髄液喪失状態がモノアミン代謝に何らかの影響を与えている可能性が示唆された。実験系においては、ラットを用いて髄液漏出モデルを作成し、基底核に挿入したプローブよりマイクロダイアライシス法を用いて脳内セロトニン、ドーパミンを計測した。その結果、脳実質内のセロトニンおよびドーパミンは髄液漏出の前おおび24時間後までの間、有意な変化を示さないことが確認された。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Diagnostic value of spinal magnetic resonance imaging in spontaneous intracranial hypotension syndrome.2009

    • 著者名/発表者名
      Watanabe A, Horikoshi T, Uchida M, Koizumi H, Kinouchi H.
    • 雑誌名

      American Journal of Neuroradiology 30

      ページ: 147-151

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effect of intracranial pressure on the diameter of the optic nerve sheath.2008

    • 著者名/発表者名
      Watanabe A, Kinouchi H, Horikoshi T, Uchida M, Ishigame K
    • 雑誌名

      Journal of Neurosurgery 109

      ページ: 255-258

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 特発性脳脊髄液減少症治癒後のRI脳槽シンチグラム所見-トレーサークリアランス基準値の策定は可能か-2008

    • 著者名/発表者名
      堀越徹, 渡辺新, 内田幹人, 坂爪徳, 木内博之.
    • 雑誌名

      CI研究 30

      ページ: 93-100

  • [学会発表] 脳脊髄液減少症に関する最近論文のレビュー(脳脊髄液減少症は静脈洞血栓症をおこすか)2009

    • 著者名/発表者名
      堀越徹
    • 学会等名
      第7回脳脊髄液減少症研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2009-02-08
  • [学会発表] 脳脊髄液減少症における脊髄MRIの診断的意義2009

    • 著者名/発表者名
      堀越徹、渡辺新、内田幹人、木内博之
    • 学会等名
      第7回脳脊髄液減少症研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2009-02-08
  • [学会発表] 髄液減少症の診断基準についての私案2009

    • 著者名/発表者名
      堀越徹
    • 学会等名
      第7回脳脊髄液減少症研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2009-02-07
  • [学会発表] 外傷性脳脊髄液減少症の治療経験2008

    • 著者名/発表者名
      堀越徹, 渡辺新, 内田幹人, 木内博之
    • 学会等名
      第67回日本脳神経外科学会総会
    • 発表場所
      盛岡
    • 年月日
      2008-10-02
  • [学会発表] 外傷性脳脊髄液減少症の臨床像2008

    • 著者名/発表者名
      堀越徹, 渡辺新, 内田幹人, 木内博之
    • 学会等名
      第31回日本神経外傷学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2008-04-25
  • [学会発表] 特発阜脳脊髄液減少症治癒後のRI脳槽シンチグラム所見-トレーサークリアランス基準値の策定は可能か-2008

    • 著者名/発表者名
      堀越徹, 内田幹人, 渡辺新, 坂爪徳, 木内博之
    • 学会等名
      第31回日本脳神経CI学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-02-22
  • [図書] 脳神経検査のグノーティー・セアウトン -この検査ではここが見えない2009

    • 著者名/発表者名
      堀越徹, 木内博之
    • 出版者
      株式会社シナジー出版事業部(印刷中)

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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