血流動態解析モデルによる動脈瘤破裂危険因子の検討:Terminal type動脈瘤における動脈瘤頚部と母血管軸の位置関係について [目的]脳動脈瘤のcomputational flow simulation (CFS)によって、未破裂脳動脈瘤の形態学的特徴から、破裂のリスクを明らかにする。 [方法]初めに、直交座標系にて単純なDome 5mmのTerminal type動脈瘤モデルを作製した。頚部の位置が母血管軸に対して対称な場合(Type A)、頚部が片側に1.5mmずれている場合(Type B)、頚部が3mmずれている場合(Type C)の3typeに分けた。CFSには、FUJITSU α-Flowを用いた。次に、DICOMデータを基に作製した実症例の動脈瘤モデルについて、同様な修飾を加えて解析した。さらに、実症例の臨床データを分析して、動脈瘤頚部と母血管軸の位置関係を、破裂動脈瘤20例と未破裂動脈瘤32例において三次元画像を用いて検討した。 [結果]Type Aでは、流内血流は対称的な整流がみられた。Type Cでは、流内を一周する整流がみられた。一方、Type Bでは瘤内にflow separationが認められた。臨床データの分析では、Type Bと似たものが有意に破裂動脈瘤に多かった(P<0.05)。 [考察]動脈瘤内血流は、動脈瘤頚部の位置が母血管軸に対して、わずかに変わるだけでも大きく影響されることがわかった。特に、Type Bの動脈瘤においてflow separationが観察され、このタイプは破裂の危険が高い可能性がある。
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