研究概要 |
4.研究成果 (1)悪性脳腫瘍幹細胞の分離 手術で摘出された悪性脳腫瘍細胞を初代培養し、sphereを形成する細胞を回収し、増殖してきた細胞をAthymic mouseの皮下に注入し腫瘍を形成してくるものを培養した。増殖能力と腫瘍形成能力を持った細胞を分離した。再現性があり、現在脳腫瘍幹細胞と考えられている細胞が樹立できたと考えられた。 (2)制限増殖型ヘルペスウイルス(rQNestin34,5)の調整 既に開発済みであるが、ウイルスタイターを挙げるために、ウイルス産生細胞の培養条件、ウイルス精製の際のウイルス分離条件等を改良した。 (3)In vitroでのウイルスの悪性脳腫瘍幹細胞に対する抗腫瘍効果の検討 1)の実験で得られた培養腫瘍細胞を用いて抗腫瘍効果を検討した。WST1 assayを行い、腫瘍細胞生存率を分析したところ、十分な抗腫瘍効果が得られた。また、増殖型ウイルスの細胞内での増殖状況をvirus replicatltion assayを行い検討したところ、より有意な増殖の差を得た。 (4)悪性脳腫瘍幹細胞を用いた動物モデルの作成 マウスの脳に定位的に1)の実験で得られた腫瘍を注入した。しかるべき後に脳標本を作製し、腫瘍の生着、増殖様式を分析したが、現在十分な結果が得られていない。今後、細胞数、注入する前の条件、などを変えることにより、生着についての実験を行っていきたい。また、In vivo動物モデルを用いたウイルスの抗腫瘍効果の検討については、脳腫瘍幹細胞モデルの作成後に行う予定である。治療実験は準備段階であるが、腫瘍幹細胞に対する治療研究は、脳腫瘍治療の新たな展開に必要な研究であると考えている。
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