ヘムオキシゲナーゼ-1、endothelial NOS、等の蛋白と11Rとのfusion蛋白質をcDNAより作成、培養脳血管平滑筋、内皮細胞に、上述のfusion蛋白質を投与し、細胞内移行について検討、広くほぼすべての細胞に数時間以内で移行することが確認できた。また、移行に必要な細胞環境、時間、細胞毒性などの基礎的データを収集しており、神経細胞毒性は現時点では確認されなかったため、中枢神経系への広い応用が視野に入ってきた状況である。11R蛋白とヘムオキシゲナーゼー1、superoxide-dismutase、TGF-beta、low-density lipoprotein receptor、superoxide-dismutaseのfusion蛋白質の作成は困難であるが、制限酵素、発現ベクターの組み合わせを工夫することにより対応中である。11Rとのfusion蛋白質の投与方法についてはラット脳室、脳槽内からの投与、あるいは静脈内から投与し脳血管に対しては脳槽投与が比較的優れた導入効率を示すことが示唆された。動脈硬化ウサギモデル作成は、食餌により高脂血症、高血圧をウサギに対し負荷、頸動脈、動脈硬化病変および一部脳血管にも動脈硬化病変を作成するのに成功した。本モデルを作成し、現在11R蛋白の動脈硬化病変に対する導入効率について検討中である。また、もやもや病モデルは、ラット頸動脈結紮により、脳虚血を惹起、さらに数カ月単位で経過観察することで、一部にもやもや血管増生を確認した。
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