研究課題/領域番号 |
19591688
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
牧野 敬史 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (90381011)
|
研究分担者 |
倉津 純一 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20145296)
中村 英夫 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (30359963)
|
キーワード | 悪性リンパ腫 / 中枢神経 / 翻訳開始因子 / シグナル伝達 / トランスレーショナルリサーチ |
研究概要 |
本研究は近年免疫抑制患者以外の一般人口においても急激な発生増加がみられる脳原発悪性リンパ腫の治療効果に関わる因子や発生母地の解明に関連する分子を見いだし、更に有効な治療法を考案することを目的としている。 1、臨床的研究 脳原発リンパ腫の生物学的特徴を検討する目的で、腫瘍のグルコース代謝(増殖能を反映)を診断できるFDG-PETと細胞密度を診断できるMRI拡散強調画像を用いて、脳原発リンパ腫を含む脳腫瘍症例で比較検討した。その結果、リンパ腫では他の脳腫瘍に比べて、細胞密度が高く、糖代謝が亢進していた。この結果は脳原発リンパ腫の診断に有用であるとして論文投稿準備中である。さらにリンパ腫細胞に特異的な分子標的治療を開発する目的で、腫瘍細胞におけるブドウ糖の取り込みや代謝の促進に関連する分子の発現解析を開始した。 2、基礎的研究 我々は昨年度、脳原発リンパ腫患者生検組織において、翻訳開始因子であるeIF-4E(eukaryotic initiation factor 4E)および活性型リン酸化eIF-4Eが高発現していること、また培養細胞株を用いた実験では、リンパ腫細胞株においてeIF-4Eのリン酸化は直接的リン酸化酵素MNKinaseを阻害することのみで抑制できることを見いだした。今年度は、さらに活性型eIF-4Eを抑制することによるリンパ腫細胞への影響を解析した。(1)リンパ腫培養細胞株を用いたin vitroの実験では、eIF-4E活性化酵素であるMNKinase阻害剤によって増殖抑制および細胞死を誘導できた。(2)リンパ腫培養細胞株を免疫不全マウスの皮下に接種して作製した皮下腫瘍モデルに対して、MNKinase阻害剤を腹腔内に投与する治療実験では、腫瘍の増殖を優位に抑制できた。この結果は現在論文投稿準備中である。
|