脊髄神経再生の研究は脊髄損傷を中心に多方面でなされている。今回、細胞膜透過性VHLペプチド(VHL-TATペプチド)を開発し、他家細胞の移植を行わず自己内在する脊髄ニューロンを再生させる方法を検討している。 平成19年度の慢性圧迫モデルでの検討において、ペプチド投与群とコントロール群とでは生理学的脊髄変性変化および運動機能変化に有意な差をもたらさなかった。病理学的変化も有意な変化をもたらさなかった。これは、神経再生の誘因として再生・修復機能が活性化されるべき損傷部位が必要であるためと考えられた。そこで、内在性に脊髄損傷状態を誘発させる方法を見いだし、非骨傷性脊髄損傷モデルを作成した。 その損傷状態、変化、神経再生を検討することとした。 非骨傷性脊髄損傷とは、骨傷を伴うような外傷を引き起こさず、脊髄損傷を誘発するものである。用いている慢性圧迫モデルでは、非骨傷性損傷の誘発が可能なことが判明し、そのモデル自体が新規の独自モデルとして大きく注目されることとなった。神経再生モデルとしても活用できる。脊髄露出に伴う人為的操作もなく、直接的外傷を伴わない。内在する脊髄変性疾患の病態にも流用しうる。結果として平成20年度はこのモデルの確立に時間を費やし、再現性をもって作成可能となり、多くの成果を発表した。このラットに対し、ペプチド投与群、PBS投与群(コントロール)、非投与群にわけ、研究継続中である
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