研究概要 |
<研究の目的および方法の概要>本研究プロジェクトの主要検討課題は骨髄間質細胞(bonemarrow-derived stromal cells, BMSC)が有する(1) 神経栄養効果と(2) 神経分化誘導作用の検討およびそれらのメカニズム解明である。そこで、各年度において培養実験と移植実験とをそれぞれ平行して進める予定であるが、平成21年度は、平成20年度の培養実験の結果を受けて、パーキンソン病モデルラットを用いた移植実験を行い骨髄間質細胞が有する神経分化誘導の検討ならびに再生移植治療への応用の可能性についても検討した。 <結果>骨髄間質細胞培養由来の条件培養液を用いて胚性幹細胞(ES細胞)を神経分化誘導させたると高率にドーパミンニューロンに分化しすることが判明した。さらに、これらのドーパミンニューロンは培養液中に多量のドーパミンを分泌しうることも高速液体クロマトグラフィーにより確認した。次に、これらドーパミンニューロンを高率に含有した分化神経細胞をパーキンソン病モデルラットの線条体に移植した。その結果、パーキンソン病モデルラットの異常行動(アンフェタミンによって誘導される異常回転)を有意に改善させ、脳内に多数のドーパミン細胞の生着を認めた。 <結論>以上の結果より、骨髄間質細胞由来の神経分化誘導作用は特にドーパミンニューロンへの分化誘導を促進し、将来パーキンソン病の再生医療に応用可能であることが示唆された。
|