自殺遺伝子のひとつであるherpes simplex virus l thymidine kinase(HSVtk)遺伝子をglioma細胞に導入し、pro-drugであるganciclovir(GCV)を投与するとglioma細胞内のthymidine kinaseによって活性型に変換され細胞は死滅するが、HSVtkを持たない周辺のglioma細胞も死滅することが知られており、これをbystander効果という。このbystander効果が、HSVtkを導入した骨髄間質細胞(BMSC)とHSVtkを持たないghoma細胞との間にもbystander効果が認められるかを平成19年度はinvitroで検討した。HSV-tk遺伝子を導入した骨髄問質細胞(BMSCtk)を作成した。Glioma細胞はLacZ遺伝子を持つ9L/LacZ ghoma細胞を使用した。まず、9L/LacZ glioma細胞とBMSCtk細胞をco-cultureし、24時間後に培養液にGCVを加え培養後、DNA染色を施行し蛍光顕微鏡にて観察すると、HSV-tkを持たないgloma細胞の核も断片化しapotosisを来たしたことが判明した。さらに、このbystander効果を定量的に評価するために9L/LacZ glioma細胞が持つR-galactosidase活性を目安とした。すなわち、細胞溶解液にONGPを加え、そのODをspectrophotometerにて測定し細胞生存率を算出した。その結果、glioma細胞の細胞生存率はBMSCtk細胞の比率が高い程、またGCVの濃度が高い程に反比例して低下することが定量的に証明された。以上より、HSVtkを導入した骨髄間質細胞とHSVtkを持たないglioma細胞との間にもbystander効果が存在することが証明された。
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