研究概要 |
平成19年度の研究で、herpes simplex virus thymidine kinase (HSVtk)遺伝子を導入した骨髄間質細胞(MSC/tk(+))をglioma細胞と一緒に培養し、これにganciclovir (GCV)を加えるとHSVtkを持たないglioma細胞も死滅するbystander効果の存在をin vitroで定量的に証明した。平成20年度は、このbystander効果がin vivoにても発現し、実験的Ratのgliomaの治療が可能か否かついて検討した。1×10^5個の9L/LacZ glioma細胞を5×10^4個のHSVtk遺伝子を導入していない骨髄間質細胞(MSC/tk(-)群,N=7)あるいは導入した細胞(MSC/tk(+)群,N=7)と一緒にFisher ratの前頭葉内に移植し、GCVを100mg/Kgを7日間腹腔内投与した。対象として1×10^5個の9L/LacZ glioma細胞のみを移植した群(対象群N=7)を作製した。腫瘍サイズをMRIにて経時的に測定した。その結果、Day14とDay21にてMSC/tk(+)群の腫瘍サイズは対象群やMSC/tk(-)群のそれに比べて有意に小さかった。また、Kaplan-Meier生存解析でも、MSC/tk(+)群の生存日数は対象群やMSC/tk(-)群のそれに比べて有意に延長した。以上よりHSVtk遺伝子を導入した骨髄間質細胞にてglioma治療が可能であることが判明した。
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