研究概要 |
平成19, 20年度に収束超音波による抗腫瘍作用の解析、特に腫瘍免疫学的効果をマウス固形肉腫を対象に以下のように行った。具体的には1.細胞の継代と腫瘍細胞浮遊液の調整、2.超音波照射装置の作成(日立中央研究所との共同開発)、3.腫瘍中心部のみへの収束超音波の単回照射をおこない、残存した腫瘍内、及びその周囲での反応を観察し、以下の結果を得た。経時的に腫瘍最大径を観察すると、対照では徐々に腫瘍径が増大していたが、照射群では増大は軽度で対照群に比べ有意に小さかった。壊死部周辺では腫瘍細胞の旺盛なアポト-シスが観察され、その頻度は照射群で有意に多かった。さらに対照群に比べ照射群では腫瘍周囲を中心としてTRAP陽性で多核のマクロファ-ジの浸潤が認められ、腫瘍内でもCD4, CD8 陽性のリンパ球の有意な集族性の浸潤が観察された 。またマウス生存率は照射群では対照群に比べ有意に生存率が良好であった。以上から収束超音波の単回照射により、前腫瘍の絵師が生じなくても、抗腫瘍免疫の活性化により、残存腫瘍に対しても抗腫瘍効果が得られると考察した。
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