研究概要 |
ラットの脊髄圧挫モデルを用いて軸索再生を促すことと、髄節の再建を目的にcombinatlonal therapyを考慮した。大脳皮質細胞体にcAMPを注入しそれぞれ軸索伸展を促しWaller変性を防ぐ。同時に損傷部の空洞形成部周囲に骨髄問質細胞(BMSC)を移植し, BMSCの脱分化を利用して軸索再生を促すことと,栄養因子の分泌による細胞保護効果を引き出すこと目的として実験を行った。 最初に脊髄損傷後1週のラット大脳皮質を展開,水溶性cAMPを注入し,1週ごとに下肢運動機能をBBB scoreにて調べた。対象をPBSとしてn=3ずつ行った。6週間のBBB scoreで有意差は得られなかった。一方ラットのBMSCを損傷後7日後に脊髄損傷部の頭側,尾側に注入,6週間のBBBscoreを計測した。同実験でも有意差が得られなかった。 当初の計画では上記2計画を組み合わせ,髄節の再建と軸索の再生を目指す予定であったが,ポジティブデータが得られなかかっため,計画を修正して実験を行った。 cAMPを脳細胞において上昇させる予定を,経口投与に変更し,cAMPを分解するphosphodiesterase III阻害薬であるシロスタゾールを脊髄損傷後1週間経口投与、以後シロスタゾール入りの餌を混ぜて8週間与えた。対象は通常餌を与えだものとしだ。8週間のBBBscoreにおいて有意差は得られなかったが,シロスタゾール投与で改善がみられた。また残尿スコアを比較したところ,シロスタゾール投与で残尿の減少がみられた。更に術後の体重変化もシロスタゾール投与で大さかった。 上記結果を踏まえ,シロスタゾールを術前から予防的に投与し,脊損後の行動回復に差があるかどうか,現在検討中である。また残尿量,体重など客観的評価基準で評価する。また組織にcAMPを維持するCREB(cAMP-related binding protein)のリン酸化がみられるかどうか検討する予定である。
|