研究課題/領域番号 |
19591718
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松山 幸弘 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20312316)
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研究分担者 |
酒井 義人 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特任講師 (70378107)
伊藤 全哉 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50447819)
今釜 史郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (40467288)
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キーワード | 脊髄再生 / SSEP / MEP / コンドロイチナーゼABC |
研究概要 |
コンドロイチナーゼABCの脊髄損傷後の運動、知覚機能不全の改善作用につき明らかにすることを目的として研究を行った。方法はS.Dラットの脊髄損傷モデルを作製しクモ膜下にコンドロイチナーゼABC (0.05U/200μL)を充填した浸透圧ポンプ(Alzet osmotic pump)を使用し損傷直後から、14日間髄腔内に持続投与した。その結果、コンドロイチナーゼABC投与群(以下ABC群)において、生理食塩液投与群に比して有意な後肢運動神経機能の回復を認めた。また0.05U/200μLが運動機能回復に置いて至適投与量であることも判明した。また、3分間歩行させ、グリッドを下肢でグリップできた割合を%グリップ値とした。ABC群の%グリップ値は、生理食塩液投与群の%グリップ値に比して高値を示し、これらの投与群において後肢運動神経機能の回復が認められた。これらは上記BBBテストの結果を支持する結果であった。さらにABC群の歩幅は、生理食塩液投与群の歩幅に比して広く、これらの投与群において後肢運動神経機能の回復が認められた。さらに感覚神経障害にたいする改善度をみるために、ラットの尻尾を55度の湯浴に浸し、尻尾を揺らすまでの時間(反応時間)を計測した。生理食塩液投与群では、損傷前に比して、損傷後、経日的に反応時間が短縮していき、熱刺激に対して過敏反応を示した。一方、ABC群では、損傷早期には生理食塩液投与群と同様の傾向を示したが、損傷3週後から5週後以降からは徐々に、熱刺激に対する過敏反応は改善し、損傷8週後には、損傷前とほぼ同程度の反応時間となり、知覚神経機能の回復が認められた。脊髄損傷後における、脊髄再生において、コンドロイチナーゼABC0.05U/200Lが運動機能回復に置いて至適投与量であった。またこの酵素は脊髄損傷後に発症する痛みにも効果を認める事ができた。現在椎間板ヘルニアにたいしての臨床応用が可能となってきており、脊髄損傷患者にいち早く臨床応用可能と考えた。
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