平成20年度の解析による結果は以下である。 1. C7orf24の発現抑制実験 骨肉腫株HOSで観察されたC7orf24に対するsiRNAによる著しい形態変化の再現性を、他の肉腫細胞株を用いた解析した。その結果、同様な変化を示した細胞株は検出されなかった。 2. C7orf24の機能解析実験 C7orf24の機能を理解するために、イースト・ツーハイブリッドシステムを用いた結合タンパクの同定を試み、結果として二つの分子が同定された。 1) 分子A:ヒストン脱アセチル化酵素を標的部位にリクルートすることで、ホルモン核受容体による転写抑制作用を補助する分子であった。この分子に対するsiRNAを作製し、骨肉腫細胞株における発現を抑制したところ、C7orf24を抑制した場合と同様な結果が得られ、両者の機能的関連性を示唆する結果が得られた。 2) 分子B:プロテアーゼ阻害剤ファミリーに属する蛋白であった。腫瘍組織における発現を解析したところ、C7orf24と同調して発現が亢進しているという結果が得られた。siRNAによる発現抑制では、C7orf24とは異なる結果が得られた。 以上の二つの分子が、in vivoにおいてC7orf24と結合するかどうかについて、内因性蛋白同士の免疫共沈降での確認を試みたが、結合は証明されなかった。次にC7orf24の強制発現系を用いた免疫共沈降実験を行ったが、やはり結合は証明されず、両者がin vivoにおいて結合していることを示す結果は得られなかった。 以上の解析より、C7orf24の発現は、特定の肉腫細胞株においては、著しい形態変化を伴う増殖抑制効果をもつが、普遍的なものではないと考えられた。
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