平成20年度は、学内倫理委員会の承諾を得て、京大病院整形外科外来を訪れた、変形性膝関節症(以下膝OA)患者の同意を得て試験を開始した。全員に日常生活上の注意点を指導した(患者教育)。患者を無作為に1)大腿四頭筋訓練を含むホームエクサーサイズ群(SLR群)、2)電気刺激群(ES群)、3)その両者を行った群(ES+SLR群)、4)患者教育のみを行った群(C群)、の4群に分け、介入試験を開始した。 評価項目は、1)自覚的評価点数(VAS、SF-36、IKDC subjective score)、2)他覚的評価点数(日本整形外科学会膝OA score及びIKDC objective score)、3)体表から計測可能な項目(身長、体重、Body Mass Index、大腿及び下腿周囲径、超音波エコー法による大腿四頭筋及び下腿三頭筋の筋厚計測、膝関節可動域)、4)筋力(膝関節伸展の等尺性筋力及び伸展屈曲の等速性筋力)、などである。 ES群の4例についての途中経過をまとめて、第22回日本軟骨代謝学界にて発表した。筋力はトレーニング後に健側患側ともに有意に増加した。筋厚はトレーニング後に患側の大腿直筋、外側広筋、下腿で有意な改善を示した。歩行速度は69.0m/minから77.1m/minに有意な改善を認めた。JKOM scoreは66.0から47.8に有意な改善を示した。VASは5.2から2.8に有意な改善を示した。全項目においてトレーニング終了後1ヵ月後以降には改善は認められなかった。 現在1)SLR群3名、2)電気刺激群(ES群)5名、3)その両者を行った群(ES+SLR群)3名、4)患者教育のみを行った群(C群)3名、の合計14名が介入後経過観察中である。今年度はさらに症例数を加えて経過観察をする予定である。
|