M1症例の生物学的特徴について、ゲノムレベルのいくつかの研究がなされているが未だ共通した特質は明らかにされていない。本研究では近年発生、癌化、分化へ深く関与していることが明らかにされつつあるDNAメチル化に着目し、これまで数個の遺伝子について断片的に行われてきた解析を、ゲノム全体のメチル化プロファイルを行った。 M1症例1例の腫瘍サンプルを用いてChIP on Chipによる網羅的メチル化遺伝子解析法を実施した。この解析法でメチル化陽性と判定された遺伝子は485遺伝子であった。同じ腫瘍組織でメチル化遺伝子のmRNAの発現は認められず、bisulfite処理しシークエンスによるvalidationでメチル化を検出できる事が確認された。また同じ腫瘍組織から樹立された細胞株でも候補遺伝子のメチル化、mRNAの発現がないことを認めた。候補遺伝子の中にはこれまでに癌腫においてメチル化による遺伝子発現消失やLOHによる遺伝子欠損と予後との関連が明らかにされているprotocadherin20やIGFALS、LOH12CR1が含まれていた。 当初予定していた10例のM1症例検討はmRNAの確認も行える5例にしぼりこみ、validationを行った後に候補遺伝子を絞り込み多数サンプルで解析することにした。
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