現在広く行われている外側塊全長にスクリュー刺入を行う、経後弓刺入外側塊スクリュー(以下:経後弓法)および直接刺入外側塊スクリュー(以下:直接法)と我々が新たに考案した後弓基部のみにスクリュー刺入を行う後弓スクリューとの力学強度比較を行った。9例の新鮮凍結屍体を用いて後弓スクリュー群、経後弓法群、直接法群、さらには軸椎椎弓根スクリュー群とにわけて、各群で引き抜き強度試験を施行し、統計学的有意差をTurkey-Kramer検定を用いて検討した。得られた結果は以下の如くであり、経後弓法群と後弓スクリュー群との間には統計学的には差を認めなかったが、後弓スクリュー群は直接法群および軸椎椎弓根スクリュー群に比べて統計学的に有意に強い引き抜き強度を有していた。 後弓スクリューとスクリュー径との関係は、後弓の厚みのCT画像ならびに屍体標本を用いた計測上、3.5ミリ径スクリューでも約1/3の症例で刺入が不可能な後弓厚であることが判明し、また3.5ミリスクリューでも引き抜き強度は1000N程度ときわめて強固であったことから、現存の3.5ミリ径スクリューが臨床使用には妥当であると考えられた。 また、昨年度明らかとした経後弓法の力学的有用性をもとに、臨床応用を重ねてきたが、臨床症例の術後データ解析からは、出血量、第2神経根損傷ともに経後弓法が統計学的有意差をもって少なく、実際に臨床使用した場合にも経後弓刺入法の有用性が裏付けられた。 今後は今年度力学的有用性が明らかとなった、我々が新たに考案した後弓スクリューの臨床応用を始めたいと考えている。
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