研究概要 |
本研究の目的では、DDS技術を基盤として、組織再生学的手法と組み合わせることにより椎間板の変性程度に応じた再生方法を確立することを最終目標としている。平成19年度では、椎間板の変性程度に応じた再生方法を確立するための第一段階として、当研究チームで確立した方法に基づき、家兎椎間板変性モデルおよび多血小板血漿(PRP)を作成し、椎間板変性抑制のメカニズムについて解析を行っている。PRPを予め調整した、ゼラチンハイドロゲル粒子に含浸させて変性椎間板内に投与した(PRP-粒子群)。対照群として、phosphate-buffered saline(PBS)含浸粒子を投与する群、および穿刺のみを行う群(Sham群)を作成し、それぞれ処置を行った。投与後、経時的に椎間板組織を摘出し、以下の評価を行った。摘出した椎間板の髄核における細胞外基質(プロテオグリカンコアプロテイン、II型コラーゲン)の遺伝子発現量をreal time PCR法で、椎間板変性度と水分含有量をMRT2強調画像で評価した。この結果から、PRP含浸ゼラチンハイドロゲル粒子の椎間板内投与は、髄核細胞外基質(プロテオグリカン コアプロテイン、II型コラーゲン)の遺伝子発現量を促進し、椎間板変性が抑制され、水分含有量が維持されていた。 本研究の結果は、第36回日本脊椎脊髄病学会(平成19年4月27日、金沢)、第28回日本炎症再生医学研究会(平成19年8月3日、東京)、第22回日本整形外科学会基礎学術集会(平成19年10月26日、浜松)、WORLD FORUM FOR SPINE RESEARCH(January 25, 2007, Kyoto)にて学術発表を行い、椎間板変性に対する新しい治療法として注目を集めた。
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