研究概要 |
ラット脊髄横断スライス標本にホールセル・パッチクランプ法を適用し、脊髄運動ニューロンにおけるプリン受容体の役割を検討した。代謝安定型のATP受容体作動薬であるATPβS(100μM)を灌流投与すると、約半数の脊髄運動ニューロンにおいて内向き電流が発生すると共に、グルタミン酸を介する興奮性シナプス後電流の発生頻度ならびに振幅は著明に増加した。また、P2X 受容体作動薬であるα, β-methylene ATP (100μM)は興奮性シナプス後電流の発生頻度ならびに振幅を著明に増加した。以上の結果から、脊髄運動ニューロンのシナプス前にはα, β-methylene ATP 感受性のP2X 受容体などプリン受容体が発現しており、その活性化によってグルタミン酸の遊離が増強する。さらに、シナプス後細胞にも2-methylthio ADP感受性のP2Y受容体などプリン受容体が発現しており、その活性化によって直接的に脊髄運動ニューロンを脱分極することが明らかとなった
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