本研究の目的1.従来の動物モデルのように関節内操作を行うことによって変形性関節症を生じさせるのではなく、関節内に直接手術操作を加えることなく、関節外のアライメントを変えることで変形性関節症を生じさせる動物モデルを開発することである。 2.そのモデルを用いて、どの段階でアライメントを戻せば変形性変化が可逆的であるかを評価する。 前年度の実験と結果1.外反骨切りモデル:日本白色家兎の雄3.0kgを使用し、脛骨内側を関節面から約2cm縦切開、レントゲン透視下で骨切り部を確認後切骨し、ポリエチレンで作成した20度のウエッジを骨切り部に挿入した。1.0mmの軟鋼線で作成したステイプル2本で固定し各層縫合し手術を終了した。術後ケージ内で自由に荷重させた。 2.外反骨切り+内側側副靭帯剥離モデル:1のモデルの内側側副靭帯を脛骨付着部で剥離し、外反動揺性を追加した。いずれのモデルでも、組織学的評価によって変形性変化は認められなかった。 本年度の実験と結果前年度のモデルで変形性変化がおこらない理由の1つとして、日本白色家兎は股関節屈曲・外転・外旋位、膝関節屈曲位でいるため、膝外反位では膝関節外側への負荷の増加は少ない可能性が考えられた。そのため1.の実験において、脛骨外側から骨切りを行う内反骨切りモデルを作成した。術後4、8、12週で屠殺し、両側脛骨を採取した。肉眼所見、軟エックス線所見、HE染色による組織学的評価を行ったが、各週で変形性膝関節症は発症していなかった。X線の詳細な評価では、骨切り角度が経時的に減少しており、挿入したポリエチレンの軽度逸脱が認められ、open wedge osteotomyでアライメントを長期に矯正することは困難であることが示された。 来年度の実験正確な角度のClosed osteotomyを日本白色家兎で行うことは困難と考えられるため、domeosteotomyによってアライメントを矯正する。
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